わすれたるにあらねども
忘れたるにあらねども

冒頭文

たかき樹の枝にかかり、 梢にかかり、 果實(このみ)とるひとが忘れてゆきたる、 いな、 忘れたるにあらねども、 えがたくて、 のこしたる紅き林檎の果(み)のやうに。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文学界 四八」1896(明治29)年2月

底本

  • 上田敏全訳詩集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1962(昭和37)年12月16日