びるぜんきとう
びるぜん祈祷

冒頭文

母なるをとめ、わが子のむすめ、 賤しくして、また、なによりも尊く、 永遠の謀のさだかなるめあて、 君こそは人性を尊からしむれ、 物みなの造りぬしも、 其造りなるを卑まざりき。 その胎に照りたる愛は、 この花をとこ世に靜けく、 温め生ふし開き給ひぬ。 ここにゐては愛の央(なかば)の松あかし。 下界人間に雜(まじ)はりては、望の生ける泉なり。 大なる哉、徳ある哉、われらの君よ、

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「心の花 五ノ一」1902(明治35)年1月

底本

  • 上田敏全訳詩集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1962(昭和37)年12月16日