ゆゆしき「し」のおおきみは
忌々しき「死」の大君は

冒頭文

忌々(ゆゝ)しき「死」の大君(おほぎみ)は慈悲の敵(あだ)なり、 昔より悲(かなしみ)の母、 かたくなに、言向(ことむ)けがたき司(つかさ)かな。 われも心に「憂愁(いうしう)」の種(たね)を播(ま)かれぬ、 いざさらば憂(うれ)ひて已(や)まじ この舌(した)の君さいなみに倦(う)みぬとも。 われ今ここに君が身をつゆばかりだに 慈悲無しと思ふものから、 まがごとの大凶事(おほまが

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「家庭文芸 創刊号」1907(明治40)年1月

底本

  • 上田敏全訳詩集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1962(昭和37)年12月16日