きそのひは
きその日は

冒頭文

きその日は思(おもひ)むすぼれ、とぼとぼと馬を進むる憂(う)き旅路、これも旅かやまのあたり、路(みち)のもなかに「愛」の神、巡禮姿、しほたれて、衣手(ころもて)輕(かろ)し。うれはしき其(その)かんばせは、さながらに、位(くらゐ)はがれしやらはれのやつれ姿か、憂愁(いうしう)の思(おもひ)にくれて吐息がち、人目(ひとめ)を避けて、うなだるゝあはれの君よ。ふとしもわれを見給ひて呼び給ふやう、『われは

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「家庭文芸 創刊号」1907(明治40)年1月

底本

  • 上田敏全訳詩集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1962(昭和37)年12月16日