はくちょう
白鳥

冒頭文

純潔にして生氣(せいき)あり、はた美(うる)はしき「けふ」の日よ、勢(いきほひ)猛(たけ)き鼓翼(はばたき)の一搏(ひとうち)に碎(くだ)き裂くべきか、かの無慈悲なる湖水の厚氷(あつごほり)、飛び去りえざりける羽影(はかげ)の透きて見ゆるその厚氷を。この時、白鳥は過ぎし日をおもひめぐらしぬ。さしも榮(はえ)多かりしわが世のなれる果(はて)の身は、今こゝを脱(のが)れむ術(すべ)も無し、まことの命(

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「三田文学 六ノ一二」1915(大正4)年12月

底本

  • 上田敏全訳詩集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1962(昭和37)年12月16日