ろんごとバイブル
論語とバイブル

冒頭文

吾人はアレキサンダー、シーザー、ナポレオンなど所謂英雄なる者の社会に存在したことを喜ばぬと共に、基督(キリスト)、釈迦、孔子など所謂聖人なる者の出現を謳歌せぬのである。世の識者という中には、武人的英雄物質的英雄の人世に不幸を増したことを認めながら、一方に聖人が人間を救済し、現世に幸福を下した如く考える者もあるが、彼等は果して赤裸々(まっぱだか)の個人として見て、それ程の人物であったか、其の言う所行

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1904(明治37)年10月15日

底本

  • 日本の名随筆 別巻100 聖書
  • 作品社
  • 1999(平成11)年6月25日