けんがく |
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冒頭文
「でも、あたくし幸福(しあはせ)だと思つてゐますのよ。母が患つてからは、あたくしの家に引き取つて、出來るだけの看病をして、心殘りのないやうに息を引き取らせたんで御座いますわ。……はあ、胃潰瘍が再發したんですの。母は年齡(とし)を取つても長い間落着いてゐられる家がなくつて、苦勞してゐましたのですけど、あたしが村田の家へ嫁付(かたづ)いてからは、此處が一番氣兼ねがなくつていゝと云つて、不斷でも、たび〳
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「婦人公論 第十一年第二号」中央公論新社、1926(大正15)年2月1日
底本
- 正宗白鳥全集第十二卷
- 福武書店
- 1985(昭和60)年7月30日