おきなわききょうしまつき
沖縄帰郷始末記

冒頭文

三十五年ぶりで郷里に帰り、ついこのごろになって帰京した。 沖縄での滞在期間一ヵ月に限られているところの岸信介大臣の証明する身分証明を懐にして行ったのであるが、沖縄へ行ってみると、色々の事情が次から次へとできて、さらに現地での滞在を一ヵ月のばしてもらって満二ヵ月を過し、往復ともに一ヵ月半ほどで東京に舞い戻ったわけである。 三十五年ぶりに郷里へ帰るとはいっても、なにもその三十五年ぶ

文字遣い

新字新仮名

初出

「産経新聞」1959(昭和34)年2月27日

底本

  • 山之口貘詩文集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1999(平成11)年5月10日