きかいなきゃく |
奇怪な客 |
冒頭文
こんな珍しい話がありますよ。 あるホテルであつたことですがね。ある晩、そのホテルの帳場へ、築地の吉田といふ待合から電話が掛つて、「今夜わたしとこのお客がそちらへ行くから、泊めてくれないか。」といふんです。「何といふ方だ。」ときくと、名前は今いへないといふ返事なので、それぢや困ると、ホテルでは一先づ斷つたのでした。それで、もしも、さういふ變な客が來たら、泊めないことにしようと、ホテルではき
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「サンデー毎日 第七年第二十七号」毎日新聞社、1928(昭和3)年6月15日
底本
- 正宗白鳥全集第十二卷
- 福武書店
- 1985(昭和60)年7月30日