ははとこ
母と子

冒頭文

封筒の中には長いお札が疊み込まれてあつた。それには××八幡宮玉串と大きな文字が刷られて、その傍に「辰の歳の男疳性(かんしやう)平癒」と書いてあつた。 何事を云つて來たのかと、案じながら手紙を開いたおたねは、お札を見るとくす〳〵獨り笑ひをした。お札の外に御供米が四五粒包まれてゐた。 明ら樣に云つては夫が一口(くち)に迷信だとけなして生米(なまごめ)なんか口に入れないだらうからと、おたねは御飯

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「早稲田文学 第百二十八号」東京堂書店、1916(大正5)年7月1日

底本

  • 正宗白鳥全集第六卷
  • 福武書店
  • 1984(昭和59)年1月30日