こうばいのきゃく
紅梅の客

冒頭文

ひとくちに紅くさえあれば紅梅といっているが、あの紅さもいろいろである。ほんとの真紅はまったく少い。かなり紅いのでも花の顔を覗くと中はほの白くて、遠目にするとそれが淡紅に見えてしまう。しかし真の紅梅であれば色はただの緋というよりも黒緋にちかく、花芯のシベも胡麻ツブのもっと可憐なものに似ている。そしてまた枝を剪ってみると、樹皮下の木目までが、まるで梅酢で漬けた紅生姜(べにしょうが)か何ぞのようにしんの

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 花の名随筆2 二月の花
  • 作品社
  • 1999(平成11)年1月10日