くせ
くせ

冒頭文

家康は重大な話のうちに、ひょいと、話を聞いていない顔をする癖があると、何かの書に見た。信長は、癇癖で有名である。秀吉は、太閤殿下ともなられながら、昔の小才がぬけないで人に耳こすりをする癖があると時人に眉をひそめられた。 又、徂徠は講義のうちに、扇のかなめで耳を掻く。聖堂の学徒松崎万太郎は、放屁癖という人に迷惑なものを持っていた。あの謹厳な渡辺崋山に、飲むと落涙する癖があり、尾崎紅葉はその

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻35 七癖
  • 作品社
  • 1994(平成6)年1月20日