さんのとり
三の酉

冒頭文

一 ——おい、この間、三(さん)の酉(とり)へ行ったろう? …… ズケリといって、ぼくは、おさわの顔をみたのである。 ——えゝ、行ったわ。……どうして? …… と、おさわは、大きな目を、くるッとさせた。 ——しかも、白昼、イケしゃァ〳〵と、男と一しょに、よ…… と、ぼくは、カセをかけた。 ——あら、よく知ってるわね。 と、そのくるッと

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」中央公論社、1956(昭和31)年1月

底本

  • 春泥・三の酉
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2002(平成14)年8月10日