まひるのおばけ
真昼のお化け

冒頭文

上 光(こう)一は、かぶとむしを捕(と)ろうと思(おも)って、長(なが)いさおを持(も)って、神社(じんじゃ)の境内(けいだい)にある、かしわの木(き)の下(した)へいってみました。けれど、もうだれか捕(と)ってしまったのか、それとも、どこへか飛(と)んでいっていないのか、ただ大(おお)きなすずめばちだけが二、三びき前後(ぜんご)を警戒(けいかい)しながら、幹(みき)から流(なが)れ出(で)る汁

文字遣い

新字新仮名

初出

「お話の木」1937(昭和12)年8月

底本

  • 定本小川未明童話全集 11
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年9月10日