しんざんのあき |
| 深山の秋 |
冒頭文
秋(あき)も末(すえ)のことでありました。年老(としと)ったさるが岩(いわ)の上(うえ)にうずくまって、ぼんやりと空(そら)をながめていました。なにかしらん心(こころ)に悲(かな)しいものを感(かん)じたからでありましょう。夏(なつ)のころは、あのようにいきいきとしていた木(き)の葉(は)が、もうみんな枯(か)れかかっていて、やがては、自分(じぶん)たちの身(み)の上(うえ)にもやってくるであろう
文字遣い
新字新仮名
初出
「真理」1935(昭和10)年12月
底本
- 定本小川未明童話全集 11
- 講談社
- 1977(昭和52)年9月10日