しばられたあひる
縛られたあひる

冒頭文

流(なが)れの辺(ほと)りに、三本(ぼん)のぶなの木(き)が立(た)っていました。冬(ふゆ)の間(あいだ)、枝(えだ)についた枯(か)れ葉(は)を北風(きたかぜ)にさらさらと鳴(な)らしつづけていました。他(た)の木立(こだち)はすべて静(しず)かな眠(ねむ)りに就(つ)いていたのに、このぶなの木(き)だけは、独(ひと)り唄(うた)をうたっていたのです。 ここからは、遠(とお)い町(まち)の燈

文字遣い

新字新仮名

初出

「児童文学」1936(昭和11)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 11
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年9月10日