きんば
金歯

冒頭文

一 「絵(え)を描(えが)きたくたって、絵(え)の具(ぐ)がないんだからな。」 あまり欠乏(けつぼう)しているのが、なんだか自分(じぶん)ながら、滑稽(こっけい)に感(かん)じたので、令二(れいじ)は笑(わら)いました。 「いくらあったら、その絵(え)の具(ぐ)が買(か)えます。」「さあ、ホワイトはなかった、それにグリーンもないと、まあ三円(えん)はいりますね。」「もし、それくらいでいいのなら、

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸」1935(昭和10)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 11
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年9月10日