はがはくし
芳賀博士

冒頭文

龜原の木立のひまに夕日しづみ悲しくも君をはふりつるはや これは、芳賀博士を音羽護國寺なる墓地に埋葬した日、遺族及び多くの知己門下の人々のかげに立つて、まむかひの雜司が谷龜原の冬木立の間に沈みはてた夕日を眺めつつ、心のうちに湧きおこつた感懷をさながらのべたのである。 廬山にあつて廬山を見ずといふ如く、多年親しく博士に接してをつた爲に、却つてその傑出した點を感じつつも、明確に考へるとい

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「国語と国文学 4巻4号」至文堂、1927(昭和2)年4月1日

底本

  • 近代作家追悼文集成 第二十一巻
  • ゆまに書房
  • 1992(平成4)年12月8日