もちあじをいかす
持ち味を生かす

冒頭文

生かすことは殺さないことである。生かされているか殺されているかを見分ける力が料理人の力であらねばならぬ。神様が人間に下し給うたとみるべき人間食物の個々の持ち味は、残念でも年を経るに従って、人間の猪口才がすべてを亡ぼしつつあるようだ。 例えば砂糖の乱用が、おのおの持つところの異なった「味」を破壊し、本質を滅茶苦茶にしている如き、それである。砂糖さえ入れれば美味いとする今の料理は、極端に味覚

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 魯山人味道
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1980(昭和55)年4月10日