みちはしだいにせまし
道は次第に狭し

冒頭文

先日、ある雑誌記者来訪、「ものを美味く食うにはどうすればいいか」とたずねた。 世の中には、ずいぶん無造作に愚問を発する輩があるものだ。思うにこういうふうなものの聞き方をする連中は、その実、料理など心から聞きたいわけではないに決っている。お役目で人の話を聞こうとするが、もとより真から聞きたいのではない。そこで私は言下に「空腹にするのが一番だ」と答えてみた。その男は、しばし二の句が継げずにい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 魯山人味道
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1980(昭和55)年4月10日