らくほくみぞろがいけのじゅんさい
洛北深泥池の蓴菜

冒頭文

じゅんさいというものは、古池に生ずる一種の藻草の新芽である。その新芽がちょうど蓮の巻葉のように細く巻かれた、ようよう長さ五分くらいのものを賞玩するのである。その針のように細く巻かれた萌芽を擁護しているものが、無色透明の、弾力のある、ところてんのような、玉子の白味のような付着物である。 それはその芽の生長をば小魚などに突っつかれて傷つかないように護る一種の被衣(かつぎ)である。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 魯山人味道
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1980(昭和55)年4月10日