くちこ
くちこ

冒頭文

このごろ、酒に適する、また、美食家の気に入る美味いものの第一品はくちこの生(なま)であろう。この生のくちこは、東京には売っていない。自分たちは加州金沢から取り寄せるのである。この風味はちょっと他に類がない。このわたに似て、水分の多い目方の重いものであるが、卸値百匁十五円から二十円ぐらいの最高価格の美食のひとつである。 多く能登に産する。表日本の方では四月ごろ見受けるが、裏日本のように美味

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 魯山人味道
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1980(昭和55)年4月10日