あらいづくりのせかい
洗いづくりの世界

冒頭文

これから当分はさかなの洗いづくりの季節である。洗いにもいろいろあるが、一番美味いのは鮎の洗いである。鮎の五、六寸ぐらいの、もちろん獲りたてのものか、または生かしてあるのでなければならないが、これを三枚におろし、片身を斜めに五、六枚につくり、蓼酢(たです)、わさびなどを調味に添え、肉のいかったのを食う。 鮎特有の澄んで、うるみのある匂いにからんで、一種の天才そのもののような肉の味わいが感覚

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 魯山人味道
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1980(昭和55)年4月10日