ゆめとぶんげい
夢と文芸

冒頭文

一 是は信州北部の山村を見てあるいた友人の手帖に、書留めてあった話である。五月代掻き馬を里の方に貸して居る家で、急にその馬が病気になったという沙汰が来たので、親爺さんが出掛けて行った晩、女房が夢を見たそうである。常日頃可愛がって育てて居た馬だから、そういうことがあったのだろうと謂って居る。これはえらい病気でとても助かるまい。売ってしまおうとうちのとっ様がいうと、馬はむっくりと起き上って、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆14 夢
  • 作品社
  • 1984(昭和59)年1月25日