どらねこかんさつき
どら猫観察記

冒頭文

一 瑞西に住む友人の家では、或日語学の教師の老婦人が、変な泣顔をして遣って来たそうである。市の蓄犬税が三割とか、引上げられるという際であった。私たちの生活では、とても今度のような税は払うことが出来ません。是迄は無理をして育てて居たけれども、もう仕方が無いから今朝役所へ連れて行きましたと謂って、又大いに涙をこぼしたそうである。 役所というのは犬殺し局のことであった。税を払わぬ犬は

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆3 猫
  • 作品社
  • 1982(昭和57)年12月25日