にほんのにわ
日本の庭

冒頭文

純日本的な美しさの最も高いものは庭である。庭にはその知恵をうずめ、教養を匿して上に土を置いて誰にもわからぬようにしている。遠州や夢窓国師なぞは庭の学者であった。そうでない名もない庭作りの市井人が刻苦して作ったような庭に、匿された教養がある。 庭をつくるような人は陶器とか織物とか絵画とか彫刻とかは勿論、料理や木地やお茶や香道のあらゆるつながりが、実にその抜路に待ちかまえていることに、注意せ

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本の庭」1943(昭和18)年

底本

  • 世界教養全集 別巻1 日本随筆・随想集
  • 平凡社
  • 1962(昭和37)年11月20日