ずいひつぜにがたへいじ 16 とりものしょうせつについて
随筆銭形平次 16 捕物小説について

冒頭文

捕物小説は、ただもう卑俗な、全く無価値な文学であるかの様に読まぬうちから、或いは一寸(ちょっと)めくって見て、軽侮する傾向が強いが、これは如何(いかが)? 捕物小説はも一度見なおされるべきではないか。それよりも現在、捕物小説が圧倒的に大衆の支持を受けている事実を何と見ればよいのか。 捕物小説の構成上の制約は実に大きい。第一に、ピストルも青酸加里(カリ)も使えない。ビルディングで活躍することも

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵作家クラブ会報 一九号」1948(昭和23)年12月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日