たんていしょうせつとおんがく |
探偵小説と音楽 |
冒頭文
近代探偵小説に一つの型を与えた、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」は、あの苛辣冷静な性格に似ずヴァイオリンをよくし時には助手のワトソン博士に一曲を奏でて聴かす余裕があり、緊迫した空気の中で、トスカニーニの指揮するモーツァルトに興味を持ったりしている。 たったこれ丈(だ)けのことであるが、音楽を知り、音楽に親しみを持つということが、シャーロック・ホームズを、どれだけ我々読者に親しま
文字遣い
新字新仮名
初出
「音楽之友」1947(昭和22)年10月
底本
- 野村胡堂探偵小説全集
- 作品社
- 2007(平成19)年4月15日