さいきんのはんざいのけいこうについて
最近の犯罪の傾向に就て

冒頭文

支那の詐偽、及び犯罪に関するいろいろな徴候を見ると、非常に緻密な組織になっている。 日本でも、徳川時代に詐偽のものを書いたものがあるが面白い。 近頃の日本の犯罪は、無技巧な野蛮な感じを窺える。国民性の粗雑な、むき出しの気持を暴露したものでうとましい。これは徳川時代にも辻斬りなどというものがあり、相手に対し怨みも何も無いものを犠牲にして、首をチョン切るというようなことをした。日本

文字遣い

新字新仮名

初出

「月刊実話」1948(昭和23)年3月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日