まつりのさまざま
祭のさまざま

冒頭文

一 村に生れた者は、誰でも少年の頃の祭の嬉しさをよく覚えてゐる。たゞ正月や盆の日とはちがつて、故郷を出てしまふと他所の祭に出逢ふことが少なく、めつたに其話を人とする折がないだけである。都会にも神社の祭は有る。しかし実際は、さう多くの者がその祭を見ることが出来ない。それ故に人は皆大きな花やかな混雑する祭だけを、祭といふものだと思つてゐる。これが村と都会との大きな相違であつた。今度は皆さんは

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆44 祭
  • 作品社
  • 1986(昭和61)年6月25日