釣の法悦境 海釣りや磯釣り、さては湖沼の舟釣りを除くと、釣にはあるく事がつきものになつて居る。鮒も鮠(はや)も、足で釣れと云はれて居るほどである。実際未明の薄明や、有明の月光の下に釣場に到着して、竿を継いでリユツクを背に、魚籠(びく)を腰に、釣場をもとめて、釣りあるくたのしさは、単なるピクニツクなどゝは比較にならない。 夕暮れて帰路を急ぐ時の快い疲労は、魚籠の重い軽いに関係なく