しちがつのみずたま
七月の水玉

冒頭文

彼女が謎だった夏 1 教授の研究室のドアは開いていた。立ちどまった彼は教授の名を呼んだ。部屋のなかからいつもとおなじおおまかな返事があった。彼は研究室に入った。いくつもの本棚や書類キャビネットで部屋の壁はすべてふさがれ、残ったスペースのいっぽうに教授のデスクがあり、もういっぽうには三つ揃った肘かけ椅子が配置してあった。教授はそのひとつにすわり、その隣の椅子には長身に

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 七月の水玉
  • 文藝春秋
  • 2002(平成14)年6月30日