ふゆにしす
冬に死す

冒頭文

蛾が静かに障子の桟(さん)からおちたよ死んだんだねなにもしなかったぼくはこうしてなにもせずに死んでゆくよひとりで生殖もしなかったの寒くってねなんにもしたくなかったの死んでゆくよひとりでなんにもしなかったからひとは すぐぼくのことを忘れてしまうだろういいの ぼくは死んでゆくよひとりでこごえた蛾みたいに

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻
  • 藤原書店
  • 2001(平成13)年11月30日