ぜにがたへいじとりものひかえ 319 しんじゅだゆう
銭形平次捕物控 319 真珠太夫

冒頭文

一 江戸の閑人(ひまじん)の好奇心は、途方もないところまで發展しました。落首と惡刷りと、グロテスクな見世物が、封建制の彈壓と、欝屈(うつくつ)させられた本能の、已むに已まれぬ安全瓣(べん)だつたのかも知れません。 錢形平次のところへも、夥(おびたゞ)しい忠告と、皮肉と、當てつ摺(こす)りと、中傷の手紙が舞ひ込みます。それを一々取合つても居られないのですが、中にはどうかして、思ひも寄らぬ事件に

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1954(昭和29)年4月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十四卷 江戸の夜光石
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年10月25日