ぜにがたへいじとりものひかえ 236 ゆうだちのおんな |
| 銭形平次捕物控 236 夕立の女 |
冒頭文
一 江戸八百八丁が、たつた四半刻(とき)のうちに洗ひ流されるのではあるまいか——と思ふほどの大夕立でした。 「わツ、たまらねえ。何處かかう小鬢(こびん)のあたりが焦(こ)げちやゐませんか、見て下さいよ」 一陣の腥(なまぐ)さい風と一緒に、飛沫(しぶき)をあげて八五郎が飛び込んで來たのです。 「あツ、待ちなよ。そのなりで家の中へ入られちやたまらない——大丈夫、鬢(びん)の毛も顎(あご)の先も別
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「サンデー毎日」1950(昭和25)年7月11日号~16日号
底本
- 錢形平次捕物全集第三十卷 色若衆
- 同光社
- 1954(昭和29)年8月5日