ぜにがたへいじとりものひかえ 193 いろわかしゅう
銭形平次捕物控 193 色若衆

冒頭文

一 「變な噂がありますよ、親分」 子分の八五郎がまた何にか嗅(か)ぎつけて來た樣子です。 「何んだ、また五本足の猫の子の見世物ぢやあるまいな」 錢形平次は相變らず白日の夢を追ふやうに、縁側に流れて行く、煙草の煙の末を眺めて居るのでした。 江戸の四月、神田の家並も若葉に綴(つゞ)られて、何處からともなく飼鶯(かひうぐひす)の聲が聞えます。 「そんな間拔けな見世物ぢやありませんよ——今度のはお

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「報知新聞」1948(昭和23)年

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十卷 色若衆
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年8月5日