ぜにがたへいじとりものひかえ 158 ふろばのひみつ
銭形平次捕物控 158 風呂場の秘密

冒頭文

一 その頃の不忍(しのばず)の池は、月雪花の名所で、江戸の一角の別天地として知られました。池の端に軒を連ねた出逢茶屋(であひぢやや)は戯作(ぎさく)、川柳にその繁昌を傳へる江戸人の情痴(じやうち)の舞臺ですが、池のほとりを少し西へ取つて茅町(かやちやう)一丁目、二丁目へかけては一流の大町人、大藩の留守居など、金を石つころほどにも思はぬ人達の寮(れう)や妾宅(せふたく)など、不氣味な靜けさと、目に

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「読物時事」1949(昭和24)年9月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第三十卷 色若衆
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年8月5日