ぜにがたへいじとりものひかえ 232 あおばのりょう |
| 銭形平次捕物控 232 青葉の寮 |
冒頭文
一 「親分、この世の中といふものは——」 愛稱ガラツ八の八五郎が、お先煙草を五匁ほど燻(くん)じて、鐵瓶(てつびん)を一パイ空(から)つぽにして、さてこんな事を言ひ出すのです。 「止せやい、道話の枕ぢやあるめえし、『この世の中』が聞いて呆(あき)れるぜ」 錢形平次は相手にもしませんでした。江戸開府以來と言はれた捕物の名人ですが、無精で貧乏で、人を縛らないのを建前にしてゐる世にも不思議な御用聞の平
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「サンデー毎日」1950(昭和25)年5月7日号~28日号
底本
- 錢形平次捕物全集第三十卷 色若衆
- 同光社
- 1954(昭和29)年8月5日