ぜにがたへいじとりものひかえ 195 わかとうのこい |
| 銭形平次捕物控 195 若党の恋 |
冒頭文
一 「親分、間拔けな武家が來ましたよ」 縁側から八五郎の長(な)んがい顎が、路地の外を指さすのです。 梅二月も半ば過ぎ、よく晴れた暖かい日の晝近い時分でした。 「何んといふ口をきくんだ。路地の外へ筒拔けぢやないか、萬一その御武家の耳へ入つたら無事ぢや濟むめえ。無禮討にされても、文句の持つて行きどころはないぜ」「だからあつしは武家が嫌ひさ。何んか氣に入らないことがあると、人切庖丁(ひときりばう
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「クラブ」1949(昭和24)年1月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二十九卷 浮世繪の女
- 同光社
- 1954(昭和29)年7月15日