ぜにがたへいじとりものひかえ 177 いきとむらい
銭形平次捕物控 177 生き葬ひ

冒頭文

一 「親分、向島の藤屋の寮で、今日生き葬(ともら)ひがあるさうですね」 ガラツ八の八五郎は、相變らず鼻をヒクヒクさせながらやつて來ました。 「俺はこれから、その生き葬ひへ出かけるところよ。お前も一緒に行つて見ないか」 錢形平次は嗜(たしな)みの紙入を懷ろに落して、腰へ煙草入を差すと立上がりました。 「御免蒙(かうむ)りませう。親分のお供は有難いが、あつしは生き葬ひを出す奴と、死に金を貯める奴が

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「寶石」1947(昭和22)年4月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十八卷 遠眼鏡の殿樣
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月25日