ぜにがたへいじとりものひかえ 175 こもりうた
銭形平次捕物控 175 子守唄

冒頭文

一 「親分、笑つちやいけませんよ」 ガラツ八の八五郎が、いきなりゲラゲラ笑ひながら親分の錢形平次の家へ入つて來たのでした。 「馬鹿野郎。頼まれたつて笑つてやるものか、俺は今腹を立ててゐるんだ」「へエー。何がそんなに腹が立つんで?」 八五郎は漸(ようや)くその馬鹿笑ひに緩(ゆる)んだ顏の紐を引締めました。 「お前のゲラゲラ笑ふ面(つら)を見ると腹が立つよ。虫のせゐだな」「なんだ、そんな事ですか。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「西日本新聞」1947(昭和22)年

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十八卷 遠眼鏡の殿樣
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月25日