ぜにがたへいじとりものひかえ 222 のりあいぶね
銭形平次捕物控 222 乗合舟

冒頭文

一 八五郎は獨りで、向島へ行つた歸り、まだ陽は高いし、秋日和は快適だし、赤トンボに誘(さそ)はれるやうな心持で、フラフラと橋場の渡し舟に乘つて居りました。 懷中(ふところ)はあまり豐かでないが、新鳥越の知合を訪ねて、觀音樣へお詣りして、雷門前で輕く一杯呑んで、おこしか何んか、安くて嵩張(かさば)るお土産を買つて、明神下の錢形の親分のところへ辿(たど)り着くと、丁度晩飯時になる——と言つた、ま

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1950(昭和25)年10月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十八卷 遠眼鏡の殿樣
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月25日