ぜにがたへいじとりものひかえ 223 みっつのかし
銭形平次捕物控 223 三つの菓子

冒頭文

一 谷中三崎町に、小大名の下屋敷ほどの構へで、界隈(かいわい)を睥睨(へいげい)してゐる有徳(うとく)の町人丁子屋(ちやうじや)善兵衞。日本橋の目貫(めぬき)にあつた、數代傳はる唐物屋の店を賣つて、その金を高利に廻し、贅澤と風流と、女道樂に浮身をやつし、通(つう)と洒落(しやれ)と意氣事に、夜を以て日に繼ぐ結構な身分でした。 その丁子屋善兵衞が、下總(しもふさ)のさる小藩の御用金を引受け、財

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1950(昭和25)年11月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十八卷 遠眼鏡の殿樣
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月25日