ぜにがたへいじとりものひかえ 248 とそのさかずき |
| 銭形平次捕物控 248 屠蘇の杯 |
冒頭文
一 「親分、大變ツ」 日本一の淺黄空(あざぎぞら)、江戸の町々は漸く活氣づいて、晴がましい初日の光の中に動き出した時、八五郎はあわてふためいて、明神下の平次の家へ飛び込んで來たのです。 「何んて騷々しい野郎だ。今日は何んだと思ふ」 これから屠蘇(とそ)を祝つて、心靜かに雜煮の箸(はし)をとらうといふ平次、あまりの事にツイ聲が大きくなりました。 「相濟みません。元日も承知で飛び込んで來ましたよ—
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋新社、1951(昭和26)年1月号
底本
- 錢形平次捕物全集第二十八卷 遠眼鏡の殿樣
- 同光社
- 1954(昭和29)年6月25日