ぜにがたへいじとりものひかえ 205 ごんぞうはなく
銭形平次捕物控 205 権三は泣く

冒頭文

一 「考へて見ると不思議なものぢやありませんか。ね、親分」 八五郎はいきなり妙なことを言ひ出すのでした。明神下の錢形平次の家の晝下がり、煎餅(せんべい)のお盆を空(から)つぽにして、豆板を三四枚平らげて、出殼(でがら)しの茶を二た土瓶(どびん)あけて、さてと言つた調子で話を始めるのです。 「全く不思議だよ。晝飯が濟んだばかりの腹へ、よくもさう雜物(ざふもつ)が入つたものだと思ふと、俺は不思議でた

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年12月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十七卷 猿蟹合戰
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月10日