ぜにがたへいじとりものひかえ 214 いたちこぞうのしょうたい
銭形平次捕物控 214 鼬小僧の正体

冒頭文

一 「親分、お早うございます」「あれ、大層行儀がよくなつたぢやないか、八」 錢形平次は膽をつぶしました。彌造(やざう)も拔かずに、敷居際に突つ立つて『お早う』などと顎をしやくる八五郎が、今日は何を考へたか、入口から斯う、世間並の挨拶をして入つて來たのです。 二月もあと一、二日、彼方此方(あちこち)の花がふくらんだとやらで、江戸の人氣はほろ醉ひ機嫌といふところでした。 「でせう、親分。行儀がよ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1950(昭和25)年2月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十七卷 猿蟹合戰
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月10日