ぜにがたへいじとりものひかえ 187 ふたりむすめ
銭形平次捕物控 187 二人娘

冒頭文

一 「親分、お願ひ、一つ出かけて下さい。このまゝぢや、あつしの男が立たねえことになります」 相變らず調子外れな八五郎でした。飛び込んで來るといきなり、錢形平次の手でも取つて引立てさうにするのです。 「何を面喰(めんくら)つてゐるんだ。俺を拜んだところで、お前の男が立つわけぢやあるめえ、——まア落着いて話せ。金で濟むことか、腕を貸せといふのか、それとも」 平次は朝飯が濟んだばかり、秋の陽のさす六疊

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1948(昭和23)年10月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日