ぜにがたへいじとりものひかえ 197 わなにおちたおんな
銭形平次捕物控 197 罠に落ちた女

冒頭文

一 「八、丁度宜いところだ。今お前を呼びにやらうと思つて居たが——」 平次はお勝手口から八五郎の迎へに飛び出さうとして居る女房のお靜を呼び留めて、改めてドブ板を高々と踏(ふ)み鳴らして來る、八五郎の長い影法師を迎へ入れたのでした。 「親分、お早やうございます」「お早やうぢやないぜ、世間樣はもう晝飯の支度だ」 やがて江戸の街(まち)も花に埋もれやうといふ三月の中旬、廣重の鞠子(まりこ)の繪を見るや

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年4月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日