ぜにがたへいじとりものひかえ 188 おながやごかい
銭形平次捕物控 188 お長屋碁会

冒頭文

一 その頃錢形平次は、兇賊木枯(こがらし)の傳次を追つて、東海道を駿府へ、名古屋へ、京へと、揉みに揉んで馳せ上つて一と月近くも留守。 明神下の家に、戀女房のお靜をたつた一人留守番さしては、鼠に引かれさうで心配でならないので、向柳原の八五郎の叔母さんに泊りに來てもらひ、その代り八五郎は、叔母さんの家にたつた一人。幸ひ寒さに向つて蛆(うじ)も湧かず、無精でだらしがなくて、呑氣で贅澤な、男やもめ暮

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1948(昭和23)年12月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日