ぜにがたへいじとりものひかえ 198 おおかみのきば
銭形平次捕物控 198 狼の牙

冒頭文

一 順風耳の八五郎は、相變らず毎日一つくらゐづつは、江戸中から新聞(ニユース)種を掻き集めて來るのでした。 その中には隨分愚(ぐ)にもつかぬものがあり、十中八九は聞流しにしてしまひますが、中には無精者の錢形平次を驅り立てて、恐ろしい事件の渦中に飛び込ませることも少くはなかつたのです。 「聽いたでせうね、親分。あの話を」 格子を足で開けると、彌造を二つ拵へたまゝ火鉢の向うに坐つて、こんな突飛

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1949(昭和24)年5月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第二十六卷 お長屋碁會
  • 同光社
  • 1954(昭和29)年6月1日